
高市政権「骨粗しょう症の方針」責任と積極が踊るも中身はスカスカ
「骨太の方針」は重要な国家の方針だと思っていましたが、どうも勘違いでした。とりあえず掲げれば良いだけのもののようです。
正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」。その年の政権の最重要課題や、翌年度の国家予算編成の方向性を示す羅針盤の役割を果たし、毎年6月頃に閣議決定します。
1ヶ月遅れで閣議決定
2026年は例年よりも1ヶ月遅れて7月21日の閣議で決定。高市内閣にとっては初めての策定ですが、「骨太」どころか、中身はスカスカ。失礼ながら、骨粗しょう症がすでに進行しているかのようでした。
金融市場は閣議決定の翌日の22日に高市政権の経済政策に不信任を突きつけていました。1ドル163円台と39年ぶりの円安水準に。「責任ある積極財政」を掲げているものの、実際は日本経済の再建に腰が引けている本音を見極めました。
例えばGDPの成長率。実質で1%、名目で3%を上回る経済成長を実現すると打ち出しましたが、現在の日本経済の実力を考えたら多くのシンクタンクが想定する当たり前の数字。物価上昇率は一時期の3%台から1%台へ落ち着いているとはいえ、米国のイラン攻撃など中東情勢の悪化によって物価上昇が収まるとは思えませんから、名目成長率は3%は政府がわざわざお節介しなくても達成するでしょう。
目標数字はムーンウォークみたい
実質成長率は米国などで2〜3%の成長が普通ですから、日本の実質1%はちょっと物足りない。残縁なのは経済政策に積極性、独創性が見当たらないこと。高市首相は常に現状打破による前進を心がけているようですが、実際は前向きの姿勢のまま後退する「ムーンウォーク」にしか映りません。
なにしろ、目玉として掲げた2040年度までに17分野に官民で累計370兆円超の投資を見込む「官民投資ロードマップ」が眉唾ものです。人工知能(AI)など流行の投資案件が並びますが、目の前あるのは数字のみ。具体策はこれから。370兆円という数字も見た目は巨額ですが、政府と民間の負担は不明。大風呂敷を広げただけと批判されたら、どう答えるのでしょうか。
新たに「強く豊かな日本」投資枠を新設しましたが、こちらも明記しただけ。27年度を「責任ある積極財政元年」「40年度までの中長期の経済財政計画を策定」と拳をさらに振り上げますが、「頑張ろう」と叫んで会議を終える労働組合の姿勢とどう違うのか。
基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の単年度黒字化の目標取り下げも、「責任ある積極財政」の検証を避けるためとしか思えません。高市政権の片山財務相の持論を考えたら、予想通りですが、先送りを納得できる「強い経済」が見えてこなければ、口先だけの「積極財政」と揶揄されるでしょう。
見通しの甘さが相次ぐ
高市政権の見通しの甘さを象徴するのは日本銀行の独立性についての言及。「適切な金融政策運営が行われることが非常に重要」と強調し、脚注で「日銀法第3条に基づき、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられる」と記載しましたが、いずれもあえて言及する内容ではありません。
にもかかわらず、記載したのは高市政権の金融政策のスタンスを改めて説明しなくてはいけない窮地に自ら追い込んだからです。政権発足後、金融市場では日銀の利上げをけん制しているとの見方が広がり、長期金利が上昇。ドル円も円安に大きく振れます。政府の考えを改めてアピールするため、6月に公表した「骨太の方針」原案で見当たらなかった日銀への文言を加えざるをえなかったのが実情です。ただ、市場の答は39年ぶりのドル高円安。効果はなかったようです。
国民の誰もが最も関心がある肝心の食料品の消費税減税はスルー。「8月上旬までを目途に、方針を決定する」と先送りです。「骨太の方針」の屋台骨ともいえる消費是減税が消えているのですから、本当は骨粗しょう症どころではないかもしれません。
でも、国民は諦めるわけにはいきません。歴史的なドル高円安の進行、中東危機による石油製品の高騰など待ち受ける艱難辛苦は多いですが、日本経済を強くしなきゃ。まずは健康増強。サントリーがテレビCMで訴える通りに効くか効かないか不明ですが、セサミンを飲んで確かな足取りでしっかり前進しましょう。

