副首都、冷静に考えたら札幌、仙台、福岡の順が最適でしょ!

 副首都法が成立しました。大規模災害時に東京圏の行政・経済の機能を代替する役割を担うとともに、税制優遇などで企業誘致を促進し、過度な東京一極集中を是正する狙いもあります。

 過去の首都移転構想の空騒ぎと違い、副首都法が施行されますから、指定獲得に向けて熱い闘いが始まるのでしょう。大阪府の吉村洋文知事ら日本維新の会は法案成立前から「大阪が当選確実」と意欲満々ですが、名古屋市、福岡市も名乗りをあげ、仙台市、札幌市が検討を開始しています。

 最有力は大阪府・市ですが、日本維新の会が政治力を強引に振り回して決定する見苦しいマネを恥ずかしいと思うかどうか。思わないでしょうね。副首都は複数の選定もアリですから、落とし所は大阪ともう一つの都市ということもあるのでしょう。

 ここでは最大の選挙地盤である大阪を副首都に祭り上げる日本維新の会の党利党略に惑わされず、人口減や地域経済の衰退が加速する日本の現状を真剣に考えみました。どの都市が副首都として最適なのか。頭の体操を楽しんでみました。

「大阪ありき」は無し

 近未来の災害に対する耐久性を最優先に東京一極集中の是正の効果をどこまで引き出せるか。最適都市は札幌市、仙台市、福岡市の順じゃないでしょうか。

 まず大阪府・市、名古屋市はなぜ落選か。最大の理由は災害に弱い。大阪府の橋下徹知事が初めて首都機能の代替案を唱えた2010年ごろ、今も都市防災の第一人者として知られ、テレビや新聞などにも登場する著名な大学教授の専門家は「地盤、地形など考慮して防災に最適な都市を評価すれば、東京、大阪、名古屋は首都に全く相応しくない」と明言しています。

 大阪も名古屋も首都機能が集中する東京・丸の内周辺とほぼ同じ脆弱な地盤なのです。丸の内界隈は元々、浅瀬の湾・干潟が広がっており、徳川家康が江戸幕府を開いた頃から土木工事を始め、丸の内は松の丸太を1万本以上も打ち込んで地盤を強化しています。

 大阪も湿地帯や浅瀬が広がっており、大和川や淀川が運んできた土砂が溜まり、陸地になりました。難波の由来も波が速い水辺から呼ばれたそうです。

 名古屋市は近い将来、南海トラフ巨大地震の発生が予想されていますが、伊勢湾の形状から台風や津波に弱い。1959年の伊勢湾台風では名古屋港での5メートルを超える高潮に襲われ、河川堤防の決壊などで市の約3分の1が浸水する甚大な被害を受けました。

東京、大阪、名古屋は災害に弱い

 防災の専門家である大学教授は2010年当時、「防災の観点からみれば東京に首都を置くこと自体に疑問があるが、まして大阪、名古屋に首都機能を移すことは甚大な災害を想定した場合、選んではいけない地域」と説明していました。ただ、後日談が続きます。最近は副首都構想が盛んに議論され始めたこともあって、大阪、名古屋は不適格を口にしていません。でも、きっと2010年の説明が真実です。

 それでは。なぜ札幌、仙台、福岡が大阪などを上回る評価となるのか。副首都選定には災害の耐久性のみならず、人口減の歯止め、地域経済の活性化を重視しなければいけないからです。

 まず札幌。北海道の中央部に位置し、地震の可能性は否定できませんが、津波などの被害を被る可能性が非常に低い。人口は200万人近く、都市インフラは満遍なく揃っています。国内外の空路が集まる新千歳空港が控え、近い将来は北海道新幹線が貫通します。なによりも首都機能を移転する広大な土地があり、首都機能を受け入れる余地は十分。

 地域活性化の効果も期待できます。全国でも最速で人口減が進んでおり、札幌市以外の市町村は都市機能の維持に四苦八苦しています。副首都となれば、札幌圏を軸に人の流れが広がり、人口減を抑制できます。日の丸半導体プロジェクト「ラピダス」が進出した千歳市が大きく様変わりした状況が道内に広がるのは確実です。

 しかも、ニセコリゾートに代表されるインバウンド需要が順調に伸びているため、海外からのビジネス・観光客の受け入れ態勢がどんどん整っています。札幌市が手を挙げれば、どうみても合格点でしょう。

災害の強さに人口減、地域経済も重視

 続いてい仙台。過去の首都移転構想では隣接する「栃木・福島」が選ばれましたが、政治的な駆け引きの結果であって無視して構いません。新幹線と高速道路で東北各県のハブ機能を果たしており、すでに本州東北部の”首都”。人口も100万人を超え、仙台圏の拡大余地は十分にあります。

 なによりも、防災機能の強靭さは東日本大震災で証明済みです。震災以前から大地震を想定した都市インフラを整備していた結果ですが、甚大な被害を受けた三陸地域とともに東日本大震災を忘れずに常に緊張感を持って副首都の充実に励むことでしょう。

 福岡市は札幌、仙台で指摘された要因のほとんどを揃えており、無難な選択になるでしょう。九州全域に新幹線網、高速道路網が張り巡らされ、九州の政治経済の中心地です。北海道同様、順調にインバウンドが増えいます。申し分ないとは福岡市のことです。

 難点は副首都に伴う地域の活性化効果が札幌や仙台に比べて弱い。熊本県に台湾の半導体メーカーTSMCが進出しましたが、北海道や東北に比べて地域経済の底力は急速に上がっています。副首都に選定されても、その恩恵がどのくらい地域に及ぶのか。県会議長の椅子が1000万円単位で売買されている噂もあるぐらいですから、副首都の恩恵を期待しなくてもすでに豊かな地方になっています。

 高市首相は「日本列島を、強く豊かに」を掲げ、地方の活性化に本気で取り組むなら、大阪は選ばれない。わかってもらえたでしょうか。

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