
ニデックは有価証券報告書を破り捨て、ソフトバンクはAI・半導体に熱狂 株式市場はもう丁半博打
株式市場にはかつて山崎種三、是川銀蔵ら市場の流れを読み切る傑出した「相場師」がいました。可能なら、直近の東証市場をどう読むのか聞いてみたい。彼らの慧眼ですら、最後まで失ってはいけない箍(タガ)がはずれてしまい、丁半博打が繰り広げられる鉄火場に成り下がってしまったと悲しむのではないでしょうか?
ニデックは2期連続の意見不表明
株式市場の信頼を根底からひっくり返しているのがニデック。つい5年ほど前まで日本を代表する高収益を誇り、創業者の永守重信氏は一言で日経平均を上昇に転じさせるほどのカリスマ経営者として高い人気を集めていました。
ところが、評価は一転。カリスマはまさに嘘で固めた虚像、地に落ちるどころから底なしの奈落へ向かっています。
9月30日に公表した2026年3月期の有価証券報告書。長年ひた隠しにしていた不正会計や構造改革に伴う減損損失で6321億円を計上、最終損益は5646億円の赤字。
しかも、会計監査を担当したPwCジャパンは2期連続の「監査意見の不表明」。極めて異例です。不正に関与した役職員が残っており、業務が適切に行われているか確認できないことなどが理由です。日経平均を主導していたニデックが、なんと上場廃止の可能性が高いのが現状です。
株式投資は、有価証券報告書の数字を信頼することから始まります。お人好しといわれようが、株式上場企業は業績を反映した「真実の数字」を掲載すると信じるしかありません。ニデックの永守重信氏はお人好しで信じやすい株主を騙し続けていたのです。
ソフトバンクはジャンク債発行
一か八かの丁半博打に熱狂しているのはソフトバンクグループ。時価総額で東証トップの地位にあり、日経平均の動向に大きな影響を持つ銘柄ですが、こちらも株価と有価証券報告書は「ハイリスク、ハイリターン」を体現、激しい乱高下を繰り返しています。
なにしろ、過熱する人工知能(AI)の波にのって、米OpenAIへの10兆円規模の投資は「AI全賭け」とも称されています。
創業者の孫正義氏は「金の亡者」と揶揄されたこともあって、2000年代に通信事業などに手を広げましたが、アリババや半導体などの成功によって再びレバレッジを効かせた巨額投資に突っ走っています。当たれば兆単位の利益が転がり込みますが、失敗すれば目の前は真っ暗。
2026年9月には金利10%近いジャンク債を過去最大の111億ドルを発行しました。高い利回りに魅せられ、発行額の2倍以上の注文が殺到しているそうですが、株主や投資家は有価証券報告書よりも孫氏の勝負勘を信じるしかありません。
日経平均は急落、急騰
当然、東証は、数千円規模の急騰・急落が日常的に繰り返される極めてボラティリティ(変動率)の高い大乱高下相場となっています。
直近の相場をみてください。6月に史上初の7万2000円台に到達したかと思えば、7月には6万1000円台まで下落し、再び急反発。10月1日には、2203円高の急騰を記録し、6万8000円台まで買い戻されました。
背景には、売買代金の3割以上を占める超高速取引(HFT)」で値幅が大きくブレる癖が根付いてしまったこともありますが、 AI・半導体セクターへの「過度な集中」によってAI・半導体関連株のニュースひとつで、市場全体の潮目が180度変わる構造になっています。
東証に上場する大半の企業は、ニデックと違い真摯に有価証券報告書を公表していますし、ソフトバンクのように一か八かの勝負に興じる事業を展開しているわけではありません。
しかし、日経平均はソフトバンクを除いても、東京エレクトロン、アドバンテスなど半導体銘柄、ユニクロのファーストリティリングの動向に大きく左右されているのも事実です。
有価証券報告書が信用されず、まるでサイコロの転がり具合で勝ち負けが決まる相場。誰も今日、明日、明後日の相場を読めません。真っ赤な鉄火場そのものです。このまま東証が健全な資本市場に貢献できるとは思えません。

