中丸美繪・本だけじゃ書き足りない 三井のすずちゃん、実はエアガールから
のすずちゃん、「エアガール」になる
エアガールの原案は「日本航空一期生」
あまりテレビを見ないのに、やたらと目につく「三井のすずちゃん」というコマーシャル。意味不明な・・・。
広瀬すずちゃんだというのは、誰でもわかるので、三井の・・・というより、すずちゃんのコマーシャルなのね。
その三井のすずちゃんは、いや、すずちゃんは、最近、テレビに出まくっている・・・といってもいいのでは?
その端緒となったのが2021年、コロナの真っ只中で撮影された「エアガール」。テレビ朝日のスペシャルドラマではないだろうか。その時、すずちゃんはテレビ朝日初登場。
これは私の『日本航空一期生』(中公文庫)という本を原案としている。
文庫を買ってカバーを見てください!(アマゾンで検索してもこれはみられません)
昔懐かしいようなエアガールの制服姿のすずちゃんと坂口健太郎のパイロットの制服姿の文庫カバー。
しかし、何を隠そう・・・この下に、本来の文庫のカバーが隠れている・・・。
日本航空のスチュワーデス一期生たちが、空港で並ぶ姿の白黒写真を使った装幀です・・・。
戦後GHQの占領下で、彼女たちはアメリカ総司令官夫人の査察を受けるために、やっと立ち上げた日本航空の飛行機の前に整列した。
しかし、その飛行機もフィリピン航空からの借り物で、前日には日の丸を大急ぎで塗り、フィリピン航空のマークもそのままに体裁を整えた。
日航創業時のみなさんにインタビュー
一期生たちはマスコミのフラッシュを受ける中で、ロングのタイトスカート姿で皆様、まるでモデルであるかのように歩む写真です。
私は、そんな彼女たちや創業時に日本航空にいた人々をひとりずつ訪ね、JALの広報の協力を得て、アーカイブズに通い、資料を漁った。
1300倍の競争率で突破した彼女たちは、おばあちゃまになっていたとはいえ、美形が多かった。綺麗なヒトはずっと綺麗なのね。
日航の5年間を経て、東宝で執筆開始
ちなみに私も日本航空に5年ばかり勤務して、その後、東宝演劇部戯曲科に所属しながら、執筆活動を始めた。そもそもJALの勤務も、海外エッセイなど書いてみたい、、、という下心があったのね。
しかし、JALの国際線スチュワーデスは、士農工商ではないけれど、厳格な身分制度が・・・???
国際線は士農工商?
JALではかつてはスチュワーデスを採用ごとに期に分けたが、カバー写真の元祖スチュワーデス一期生たちは「神話のヒト桁」、そのあと10期からは「化石の二ケタ」、「美貌の100期」「知性の200期」と続き、私が入社した成田開港あたりになると、「体力の300期」と言われ・・・。何しろ大量輸送時代を迎えていて、500人乗りのジャンボジェットが主流という時代で、その後400期になると、「隣横丁の400期」と言われたと、後輩が言っていましたよ。
スチュワーデスも高嶺の花から⤵。という身分制度。。。
制服があるところっていうのは、どうしても軍隊形式になるのでしょうかね。
そんな時代でも、私は、機内で和服を着てしゃなりしゃなりと歩く着物サービスを行ったり、ファーストクラスについた時には、オードヴルからワゴンで、女性パーサーはロングドレスなどという時代。その原点が創業時にあったというのは、執筆過程で知った。
ちなみに、一期生たちが、マスコミの撮影に応じ、この時に着用していたこのロングタイトスカートは、業務を行うのには歩きにくくて適さないという意見が噴出、この日、一日限りでお蔵入りとなったそうである。
それにしても、戦後100パーセント民間会社として出発した日本航空には、様々な試練が待ち受けていた。
だいたいにおいて、日本の航空は太平洋戦争で零戦が名を轟かせてしまったばかりに、敗戦を迎えると、全てを破壊するようGHQから通達されたのだった。そんな中から、どうやって・・・・。
それは2年ぶりに帰って着たTverの無料配信で「エアガール」をみてください。パソコンからでもスマホからでも無料で見られるらしい。
人気の白洲次郎は悪役で描きました
そして、日本航空のその後も知りたい方は、文庫を読んで欲しい。
ちなみに、近頃人気の白州次郎は、ここでは悪役です。
戦後の新聞などを見ると、白州さんは民間企業の敵。海外に利益をもたらす人物だったのです。
銀座で殴りかかる財界人あり。一体、誰でしょう?
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中丸美繪さんがエッセイを寄稿してくれました。「嬉遊曲、鳴りやまず 斎藤秀雄の生涯」「オーケストラ、それは我なり 朝比奈隆四つの試練」などの書籍を発表しており、直近では「鍵盤の天皇」を発表しています。